映画/溺れるナイフ

この間久しぶりに友人と映画へ行った。

仕事が忙しいこともあって、映画へ行くことも、友人と会うこと自体も久しぶりだった。どれくらい疲れていたかというと、映画が始まる前始まる「紙兎ロペ」だとかキャラクターバトルクラブの「MC FAMILY」に声を出して笑い始めるくらいだった。相当疲れてる。

そんな私たちがみたのは「溺れるナイフ」だった。私は映画化が決まってから、すぐに漫画を買って全巻読んだ。(ミーハー)少女漫画だと思ってたから、ときめけたり青春感じられるのかなーなんて思って読んだら、甘かった。

どうしてこんなに苦しいんだろう、そしてどうしてこの二人はこんなにきついんだろう。とにかくきつかった。

 

 

かっこいいから好きだとか、可愛いから気になるだとか、そういう感覚ではない。悔しくて、負けたくなくて、そして鬱陶しい。だけど一番刺激的。そういう関係のコウちゃんと夏芽。

 

田舎町に越してきた、元モデルの美少女・夏芽(小松菜奈)は特別だった。そしてその田舎町で「神さん」として祭り上げられるコウちゃん(菅田将暉)もまた特別。二人は当然のように惹かれあい、そして皆が彼らを眩しく見ていた。彼らと自分は住む世界が違うから。どこかで聞いたようなセリフだが、そうなのだ。

その様子がこの映画ではすごく綺麗に描かれていた。田舎の風景には明らかにもマッチしない夏芽とコウちゃんの美しさ。彼らはとても眩しく、違う世界に生きていた。そして、お互い切磋琢磨する関係にある、夏芽とコウちゃんはどちらかがダメになると、共倒れしてしまう。だから彼らはどこかふわふわしていて危なかしく儚げである。

大友(重岡大毅)とカナ(上白石萌音)は、コウちゃんと夏芽の友人役としてでてくるが、彼らはとても自然に田舎町で息をしていた。カナは高校生になった途端に垢抜け、可愛い女の子になる。大友は眉毛を整えて、色気付き始める。だけど彼らは、コウちゃんたちの世界へは行けない。彼らは地に足をつけて、未来を見据えて立っている。

 

夏芽とコウちゃんは大友たちから見ると、眩しく羨ましい。二人を応援したいというファン心理のようなものを感じられた。怒鳴ったり叫んだり走ったりと少しオーバーでうるさい二人だが、それすらもどこか眩しい青春にも見えた。

そんな夏芽とコウちゃんは、ある事件をきっかけに崩れ始めるが、その辺りがどうも真実味にかけていた。もっとあそこは丁寧にしてほしかったし、前半がすごくよかった分、後半に物足りなさや無理やりのこじつけを感じた。

ラストも衝撃的で、そこはもっとちゃんとやるべきなのに…!!

原作が長い分、まとめるのが大変だったんだろうなぁ…。

 

私が大好きな最終巻のコウちゃんのセリフ。

これはこのまま使って欲しかった。

 

「ずっとずっと見ちょるけぇ

 俺の願いはよう おまえがその武器で天下取るの見ることじゃあ

 おまえはよう 俺の衝撃じゃけぇの

 はじめて会うたときからずっとー

 どがぁこつあっても、おまえがなにしようと

 大人んなって 立場が変わっても

 俺は一生おまえの味方じゃけぇ

 好きに生きてよぉ

 一生俺をざわつかせてくれぇや!」

 

心がざわついて息もできない感覚。そんな恋をしたことがある人はどのくらいいるんだろう。婚活や合コンに婚活アプリ。

人は、好きになろうと努力して好きになり、そして結婚生活は頑張って続ける。『逃げ恥』でも同じようなことを言っていたが、それが現状。

そんな稀有な恋愛をしているからこそ、彼らはとても眩しくうつるんだろうと感じました。

 

とにかく映像が綺麗で、アドリブ芝居もすごくよかった。大友くんがなんども噛み倒してますが、それもまた純朴さが伝わってよかったな。